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家族の事前知識が明暗を分ける「脳梗塞」

「介護が必要になった原因」
1位 脳血管疾患(脳卒中) 18.5%
2位 認知症 15.8%
3位 高齢による衰弱 13.4%


これは厚生労働省が行った、平成25年度の国民生活基礎調査の結果です。


個人的に、脳血管疾患が1位になっている事にとても驚きました。
2位、3位の原因と比べると「比較的若くても、なる病気」だからです。

しかも、中高年ならば「誰もがかかる可能性がある病気」です。つまり、大多数の中高年が「いつ要介護になってもおかしくない」状態にあると言えるのです。


さらに脳血管疾患の中で、1番多いのが「脳梗塞」です。

周囲に若い世代しかいない方は、ピンと来ないかもしれませんが…

「脳梗塞」は、ものすごく身近な病気です。

高齢化が進む田舎暮らしの私の周りでは、脳梗塞になった人が何人もいます。
従兄弟のお父さん、同じ職場の男性、父の友人、近所のおじさん、私の祖父(生前)、旦那の祖父(生前)、私の父…。
年齢的には55~65才の男性が多く、中には30代半ばでなった男性もいました。


脳梗塞で何よりショックを受けるのが「昨日まで元気」に見えていた人が、突然発症してしまう事です。

そして発症してしまうと、運動障害や意識障害等の深刻な後遺症が残ってしまう可能性がとても高いのです。



【家族の事前知識が"後遺症の重さ"を決める】


脳梗塞の「後遺症」が大きく残るか、少なく残るかの明暗を握っているのが「家族の事前知識」です。

というのも「脳梗塞の後遺症の大小」は、発症~病院にかかるまでの時間で決まってしまうからです。

仮に、発症から数時間で病院に行く事が出来たら、後遺症は残らない、または残っても少なくて済む可能性が高くなります。
逆に、発症から1~2日等と時間が経過して病院に行く場合、その間に脳細胞の死滅が進んでいき、大きな後遺症が残る可能性が高くなってしまいます。


ただ、ここで1つ問題があるのです。

「初めて"脳梗塞"を目の当たりにした時、それが"脳梗塞"と気付けるか?」

というのも脳梗塞は、吐血したり意識を失ったり…というような「分かりやすい症状」ではなく、
「なんかいつもと違うな」と違和感を感じる程度で、すでに発症している場合があるのです。

その為、家族が事前に"脳梗塞"の症状を知っていて、この「いつもと違う」事に気付けるかどうかで、病院に行くまでの時間が大きく左右されるのです。


脳梗塞の初期症状として、よく言われるのが「片方の手足に力が入らない、ろれつが回らなくなる、言葉が出なくなる」等です。

ちなみに、私の父が脳梗塞になった時は、この「言葉が出なくなる」症状がありました。
ところが、普段の父が"たった1回"言葉に詰まっただけだったので、私も母も「これが脳梗塞の症状だ」なんて夢にも思いませんでした。少し疲れて言葉が出て来なかったんだろう…位に捉えたのです。
それ位、脳梗塞の症状は"ほんの少し""なんとなく"現れました。

この時点で、私と母は「脳梗塞」という病気を"名前"しか知りませんでした。どんな症状があるか、まるで知らなかったのです。
その為「言葉が出ない事→脳梗塞の可能性」という発想が皆無だったのです。



でももし「言葉が出ない」事が、脳梗塞の初期症状だと、私か母が事前に知っていたら…

そして、すぐに病院に連れていく事が出来ていたら…

"父の今"は大きく変わっていただろうと思います。


今となっては、後の祭りですが…





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【実例・私の父が脳梗塞になった時】


ここで、私の父が"脳梗塞"になった時の事をお話しします。少し長くなりますが、気が向いたらお付き合い下さいm(__)m

(「脳梗塞の事がよく分からない」という方へ、事前知識として実例を知って頂き、ご家族に万が一の事があった時に"早期発見"に繋がって頂けたら…これほど嬉しい事はありません)



その頃父は、長年勤めた職場の「定年退職」まで、後1ヶ月と迫っていました。
父の退職と共に、社内で引っ越しをしなければいけない事情があり、普段は内勤で軽作業をしていた父は、退職1ヶ月前から炎天下に外に出て肉体労働をしなければならない状態になりました。

慣れない肉体労働でかなり疲れ気味の父でしたが「もうすぐ退職!」という高揚感からか、気力が充実していて、話す言葉から"いつも以上のエネルギッシュさ"が伝わってきたのを覚えています。

その様子を見て家族も「今は少し無理をしても、退職すればゆっくり出来る」と、半分安堵感を持って父を見守っていました。

後になって気付いたのですが、実はこの頃にはすでに父に"脳梗塞の初期症状"が現れていました。
スラスラ話していた会話が、たった1度だけプツッと変な所で途切れたのです。
一瞬「あれ?」と思いました。でも"疲れてるのかな…"程度に受け流してしまいました。それ以降、父は再び普通に話し始めたので。





肉体労働が2週間続き、中2日の休日がありました。
その夜に父は解放感からか、いつもより多めにお酒を飲みました。
この1年位、父はめっきりお酒が弱くなっていて、いつも以上に飲むとふらついたり、転んで起きるまでにしばらくかかったりしていました。
この夜もそうでした。飲み過ぎてふらつきトイレで転び、母に支えられてようやく寝室まで戻ってくる状態でした。

「お父さん、またこんなに飲んじゃって…」
「仕方ないよ。仕事の疲れがたまって、酔いが回りやすいんだろう」
母と私で、こんな会話をした事を覚えています。


翌朝、父のふらつきはまだ治りませんでした。
立ち上がろうとすると転び、それを何度かくり返してようやくつかまり立ちするような状態でした。
父は「なんかフラフラするなぁ」と呑気に話していました。
「きっと、ひどい二日酔いなんだろうね」母は少し飽きれ気味でした。

ところが、この"立ち上がると転ぶ"状態は夜になっても治りませんでした。
さすがに、私も母も「何かおかしい」と思い始めました。
その夜、たまたま私は彼氏(今の旦那)と会う約束があり、何気なく父の話しました。
すると彼に「今すぐ病院に行った方がいい!手遅れになるぞ!」と、かなり強い口調で言われ、ここで初めてこれが"緊急事態"だと気付きました。
ところがそれを母に伝えても、
「今日はもう夜だから…。明日の朝まで様子を見てから病院に行こう」と、まだ"緊急事態"だとは夢にも思っていない様子でした。


結局、父を病院に連れていったのは、トイレで倒れてから約35時間後の事でした。
(後から考えると、トイレで倒れたのはお酒が原因ではなく、脳梗塞を発症したからだったようです)


病名は「脳梗塞」。
この時のお医者さんの説明によると、脳の"認知"の部分に壊死があり「認知症」のような症状が出る可能性が高い。介護の覚悟をしていた方がいいというものでした。


そして、現在。

懸命なリハビリの甲斐があって、脳梗塞から数年が経過しても父に「認知症」の症状は現れていません。
運動障害も言語障害も現れず、幸いにも誰の補助も必要なく、日常生活を過ごせています。

でも、かなり情熱的で行動力に溢れていた父は、
脳梗塞以来、別人になってしまいました。

どこかボーッとしていて頼りなく、何をしてもすぐに疲れては休む…
同年代の男性と比べると"10才"は年上に見える程に、老けてしまいました。


父が夢見ていた
「退職後は日本各地を旅しよう」
「毎日のように釣りをしよう」
そんな生活は叶わなくなりました。

今は近場を旅するだけで、すごく疲れてしまいます。
"糸が絡まったらなおす""糸に仕掛けを付ける"等の細かな作業が苦手になったので、自然と釣りからも遠ざかってしまいました。

そして何より、父が寂しいと感じているのが「友人が減った事」だと言います。
以前とは明らかに別人になった父の前から、一人また一人と仲が良かった友人が遠ざかっていったのだそうです。


周りからは「介護が必要にならなかっただけ、幸せだと思ったほうがいい」と言われます。

確かに、そうかもしれません。

でも、もしもあの時、もっと早く父を病院に連れていく事が出来ていたら…


父の退職後の人生は、まるで違うものだっだろうと思います。




【中高年の"退職"と"引っ越し"は要注意!】


父が脳梗塞になった後、周りから言われた事ですが、
中高年の「いつもより忙しい」状態には、注意が必要なのだそうです。

特に"定年退職"で引き継ぎが忙しかったり、"引っ越し"で慣れない肉体労働をする等の非日常の作業が続く時は、体調に変化はないかを家族がしっかり見ておく必要があります。

そして、万が一「言葉に詰まる」「片方の手の動きが鈍る」等の異変があった時は、例え"ほんの少し"の症状でも、迷わず"すぐに"病院に行く事が大切です。

どうか、後悔しないように…。



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プロフィール

できれば親孝行

Author:できれば親孝行
将来「4人の高齢者」を夫婦2人で抱える可能性がある40代女性です。

介護の知識ゼロでしたが、少しでも今後の不安を解消したくて介護情報を調べ始めました。
まだ介護は始まっていませんが「今から知っておいた方がいい事」を中心にどんどん綴っていきたいと思います。

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